飽きっぽいわけではないはずなのですが、大学を出て以来、私の住む場所は何度も変わり、今じゃもう何度住み変わったかわからなくなりました。
(ワーホリで海外にいる間もよく旅して動き回っていたので、住所不定だったことも多い・・。)
ある時は、ゲストハウスという空間にハマり、ちょっとお小遣いをもらいながらだったり、がっつり稼ぎながらだったり、国内外のゲストハウスで働いていたこともありました。
中でも東京のゲストハウスで働いていた頃に見た「旅人たちのスタイル」については今でもよく思い出すことがあります。
旅人に学ぶ時間の使い方
その東京のゲストハウスは空間作りのすごくステキなゲストハウスだったのですが、そのことも相まってか、そこの受付にいると欧米系とアジア系の人の時間の流れがはっきり対比されて見えました。
スケジュールありき!
朝、7時か8時にはもう起きだして、なにやらアクティブに動きだすのはたいていアジア系の人たちでした。
8時オープンの受付の準備を進める私の脇をささっと通り過ぎ、どこかへ出かけていきます。
あたりがすっかり暗くなってきた頃、彼らは両手いっぱいに家電量販店の大きな紙袋や有名店のお土産袋をぶら下げて帰ってくるのでした。

「爆買い」なんて言葉が流行った頃でした・・。
ヘタすると、受付のオープン時間前に出かけていって、受付時間のあとに帰ってくるような人たちもいて、一切あいさつすらなくさよならするゲストもいるくらいでした。
今決めたのがスケジュール!
それに対し、のんびり10時過ぎなんかに起きてくるのが欧米人たち。
カフェ/バー付きのゲストハウスだったので、ひとまずラテなんかを頼んで、ガイドブックを開いてのんびり見だしたりします。
オーナーと目があったのをきかっけに「この辺のオススメある?」なんて会話を始めると、話が盛り上がるうち気がつけばお昼になって、やっと出かけて行くのが彼らのパターンでした。
そんな彼らは、それなりにあたりが暗くなってきたくらいに帰ってくると、バーでビールなんかを飲みながら「あの場所よかったよー」なんて報告会を始めたりするのです。

本当にのんびりと夜を過ごしていました。
旅のスタイル
そんな旅人たちの姿を見て、こんなにはっきり違うのが、ちょっと衝撃でありつつ、なんとなく「腑に落ちた」というのが私の思うところでした。
どっちがいい、悪いじゃなく、そういう「スタイル」っていうのがあるのだとはっきり意識させられたのです。
その後、別のゲストハウスでも働きましたが、そういう時間の使い方の違いはやはり感じるところでした。
アジア圏からのゲストたちは近くのアウトレットモールへの行き方を、欧米・オセアニ勢はハイキングコースについてを聞いてきます。
予約の取り方も結構極端で、半年後の予約を入れてくるのはアジアからの人が多め。
当日、電話で「今日って泊まれる?」って聞いてくるのは往々にして欧米の人たちでした。
空間にお金を払う

そういう旅のスタイルについて深く考えるようになったのには、東京のゲストハウスのオーナーが言っていたことが印象に残っているというのもあります。
「アジアの人たちってどっちかっていうとモノにお金をかけるんだけど、欧米系の人は空間にお金を払うんだよね」と。
旅人たちを見てなんとなく感じていたものが言葉で表され、正体が明らかになったような瞬間でした。
「空間にお金を払う」
時間を味わうってことなんだろうなぁ、とその時なんとなく思いました。
これはもちろん、みんながみんなアジア系だからこうとか、欧米系の人だからこうと言いたいわけではありません。
(ついでに言うと、日本に旅行するって決めている時点で、アジア系の人たちももうすでに空間や経験にお金を使っているということになってたりもする!)
ゲストハウスって、いわゆる「安宿」の分類で、宿代を浮かす代わりに、他にお金にかけようって考え方に結びつくことがあります。
浮いたお金をどう使うのかと考えた時、ある人はモノに使うことにして、ある人は空間やそこで得られる体験にお金を払うことにするということなのでしょう。
モノか空間か。
どうお金を使うのか。
私はよくあのゲストハウスで感じたことを思い出します。きっと私は空間に使える人でいたいのだと思い出しながら。
さて、私はどんな空間にお金を使っていこうか。
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