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アイルランド音楽で人がつながる——小松大さんが語る音楽とコミュニティのこれから

小松大さんインタビュー-dai-komatsu-interview

フィドル奏者として活躍する一方、株式会社Ode(オードインク)を立ち上げ、フィドルレッスンやイベント制作など、音楽を軸にしたカルチャーづくりにも力を注いでいる小松大さん。
音楽をきっかけに人が集まり、つながっていく場を作りたいと語る小松さんにお話を伺いました。

小松 大(こまつ だい)
フィドル・ヴィオラ奏者 / 株式会社Ode 代表取締役
2004年のアイルランド音楽との出会いを経て、2006年にアイルランド・クレア州に滞在しフィドルを学ぶ。2019年に株式会社Odeを創業。これまで数多くのイベントの制作を手掛ける。2024年3月に作曲・演奏を担当した「アイリッシュ盆踊り」がSNSで計1000万再生を超え大きな話題を呼んだ。

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「なんか好きな感じ」—クラシック音楽から広がったアイルランド音楽との出会い

5歳の頃、親に連れられてバイオリン教室に行ったのが始まりです。
音楽家の家に育ったわけでもなく、プロを目指そうというわけでもなかったのですが、自然と通い続けられて、中学1年生ぐらいの頃には、音楽は好きだし、音楽系の道に進めばおもしろいかなと思うようになりました。

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小松 大さん

大学4年生のとき、友人が学園祭で葉加瀬太郎さんのアイリッシュセットを弦楽四重奏にしていたのを聴いたんです。
それまではずっとクラシック音楽をやってきましたが、そこで譜面を借りて弾いて「これがアイルランドの音楽なんだ。なんか好きな感じ」と思いました。
親の影響でボブ・ディランのようなフォークソングや、映画『ブレイブハート』のサウンドトラックを好んで聴いていましたが、実際に曲を弾いて、詳しく調べてみようと思ったのはそのときが初めてでした。

▼ 葉加瀬太郎さんの「サリー・ガーデン・セット」

“美しい音” だけじゃない。素朴で奥深いアイルランド音楽の世界へ

いえ、すぐというわけではありませんでした。
でも、2005年の12月に、思い切って3週間ほどアイルランドに一人旅をしたんです。
『地球の歩き方』で「音楽が有名なパブ」と紹介されているところにとりあえず行ってみるみたいな、そんな滞在でした。

帰国後、名古屋でフィドル奏者のパット・オコナーさんの個人レッスンを受ける機会があり、その演奏スタイルにすごく惹かれました。
渋く繊細な音色が、それまでクラシックで学んできた「美しい音」とはまったく違っていて、「こんな表現もあるのか」と強く印象に残ったんです
それで、2006年の5月末から3ヶ月弱、再びアイルランドに滞在して、パットさんのレッスンを受けたり、毎晩現地のパブのセッションに通ったりしました。

クラシックの世界だと、プロとアマチュアの間に線引きみたいなのがあるのが普通です。でも、アイルランド音楽の世界では全然違っていました
日本でワークショップを開くようなパットさんと、セッションに集まったみんなが気軽な感じで話していたんです。
人間関係としては当たり前のことかもしれませんが、そういう空気がちゃんと音楽の場にもあるのが新鮮で、「こういう音楽のあり方もあるんだな」と感じました。

「オードインク」というもう1つのステージができるまで

アイルランドから戻った後もクラシック音楽を続けていて、でも、どこか停滞感みたいなものを感じていたんです。
そんなとき、友人に誘われてマルシェで演奏する機会があり、2016年から2018年にかけて、クラシックとは異なる音楽の世界での仕事が増えていきました。
あわせてイベント制作のお手伝いもしていたら、「まとめてお任せしたい」と奏者の手配や音響業者の選定まで任されるようになり、仕事の幅が広がっていきました。

豊洲スタイルマーケット-toyosu-style-market
2019年「豊洲スタイルマーケット」の様子 (画像提供:オードインク)

流れというか、ある法人の担当者から契約の際に「法人じゃないんですか?困りましたね」と言われて、それで、その次の打ち合わせのときには「法人化したので大丈夫です!」みたいな展開でした。
他の取引先からも法人化を求められていて、タイミング的に必然だったと思います。

結構、勇気がいりました。フリーランスのときとは違い、場所を構える責任や収入面の不安もあって、正直きつかったです。
でも、前に進むにはやるしかなかった。「やらないとダメだろうな」みたいな感覚で、ボールが来たらまず動くみたいに。
そんな流れの中で、少しずつ、今のような活動のかたちが見えてきました。

みんなでつくる「アイルランド音楽の場」—これからのチャレンジ

音楽活動としては、新しい楽曲のリリースやライブ活動など、いくつか進めたいプロジェクトがあります。
それと、東京のフィドルレッスンの生徒さんが40人ぐらいに増えてきたので、皆さんがもっと音楽に親しめる場をどう作るか、実験的に取り組んでみたいと思っています。
セッションデビューもハードルが高いのは感じるところで、でも楽しみ方はそれだけではないし、みんなが楽しめるための「ハブ」のような場を作っていきたいですね。

フィドルクラス演奏会-fiddle-class-students
生徒さんとの演奏会の様子(画像提供:オードインク)

楽器を弾いて、「合格」「上手い」みたいな評価をつけられるのではなくて、友達ができて、そのつながりの中で「何かやってみよう」という感じで、みんなで日本でのアイルランドのカルチャーを作っていければいいと思うんです。
それぞれ目標とするものは違っても、コミュニティで楽器を演奏して、おしゃべりして、友達ができたっていうほうがアイルランドっぽいし、そういうところまで設計できればと思います。

「小松さんのファン」とか、「先生と生徒」とかっていう線引きはないほうがよくて、生徒さんがそれぞれ主体的に楽しむ風景を見ている方が好きだなって思っています
来年(2026年)3月は表参道のセントパトリックスデーパレードに、オードインクのフィドルクラスの皆さんが参加する予定です。とても楽しみにされている方も多く、そんな風に自分らしく主体的に音楽に関わる方が増えたらいいなと思います。

アイルランド音楽について詳しい方ももちろん多くいらっしゃいますが、全員がそうならないといけないわけではないと思うんです。
会社員の方が趣味で楽器を楽しみ、パブやステージで演奏して、それを同僚や友人が気軽に聴きに来れたら、自然と新たな層にも届くようになるじゃないですか。そういう場をつくっていけたらいいなと思っています。

「やってみたい」という気持ちがあれば大丈夫。ぜひ一歩踏み出して

オードインクのフィドルクラスでは、生徒の半数以上がバイオリン未経験からのスタートです。大人になって持ち方や楽譜の読み方を学んで弾けるようになっています。
「やってみたい」という気持ちがあれば、ぜひ一歩踏み出してみてほしいです。

イベントに興味がある方は、ぜひライブを聴きに来てください。
今後は、人が交流できるイベントや、アイルランドに関するマニアックなトークイベントも企画してみたいと思っているので、気になるものがあれば気軽に参加してもらえたらうれしいです。

インタビュー・文:たびわ / 取材月:2025年5月

【イベントPick Up!】7月20日は群馬へ!/
ケモノの森の音楽会
イベントの詳細は画像をタップ!
株式会社 Ode (Ode Inc.)
会社ウェブサイト:https://odeinc.jp
小松さんのフィドルレッスン:https://odeinc.jp/lessons
オードインクの最新イベント情報:https://odeproject.peatix.com/

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