世界ランキング1位と言われる日本のパスポートを持っていれば、特別なビザの申請なしに194カ国(2024年現在)もの国に行くことが可能です。
ただ最近は、電子渡航認証システムの導入が進み、ビザが免除をされる国からの渡航者の適格性を判断するために、電子システムへの申請を義務付ける国が増えています。
ヨーロッパでも、シェンゲン協定国への渡航については、現在、ETIAS(エティアス)という欧州渡航情報認証システムの導入準備がされています。ここではそのETIASについて申請方法なども含め解説します。
ETIAS(エティアス)とは?
ETIASとは、European Travel Information and Authorization System(欧州渡航情報認証システム)の略称です。
ヨーロッパの中でも、シェンゲンビザ地域への入国に際して、パスポート情報をユーロポール(欧州警察機構)などから照会し、審査するというものです。
シェンゲンビザ地域、またはシェンゲン圏とは、シェンゲン協定に属する27のヨーロッパの国からなる区域です。EU加盟国27国と重なる地域もありますが、ノルウェー、アイスランド、スイス、リヒテンシュタインの4つの非EU加盟国も含まれます。
🇧🇪 ベルギー | 🇩🇰 デンマーク | 🇩🇪ドイツ |
🇪🇪 エストニア | 🇫🇮 フィンランド | 🇫🇷 フランス |
🇬🇷 ギリシャ | 🇮🇸 アイスランド | 🇮🇹 イタリア |
🇭🇷 クロアチア | 🇱🇻 ラトビア | 🇱🇮 リヒテンシュタイン |
🇱🇹 リトアニア | 🇱🇺 ルクセンブルク | 🇲🇹 マルタ |
🇳🇱 オランダ | 🇳🇴 ノルウェー | 🇦🇹 オーストリア |
🇵🇱 ポーランド | 🇵🇹 ポルトガル | 🇸🇪 スウェーデン |
🇨🇭 スイス | 🇸🇰 スロバキア | 🇸🇮 スロベニア |
🇪🇸 スペイン | 🇨🇿 チェコ | 🇭🇺 ハンガリー |
この制度は、2024年からの導入が予定されていましたが、2024年8月の時点の情報では、2025年前半からの導入とされてます。
これはシステム上の話なので私たちには直接関係しませんが、どうやらEES(Entry / Exit System)の導入準備の遅延が、ETIAS導入の妨げになっているようです。
EESの導入が完了すると、電子パスポート読み取りゲートを利用できるようになり、パスポートのスタンプ処理などの必要をなくせるそうです。
>> EES詳細(英語ページ):https://travel-europe.europa.eu/ees_en
ETIASが完全導入となると、日本国籍の人は、今と変わらず特別なビザへの申請手続きは不要でシェンゲンビザ地域への渡航が可能ですが、旅行前にETIASの申請・許可を取っておく必要が出てくるということになります。
【注意】現在、ETIASで検索すると日本語のページを含め様々な情報ページが出てきます。
ETIAS導入後は、公式サイトを偽って申請料金を騙し取ろうとするものも出てくる予感がするので、見ているサイトが本当に正しいサイトか見極める必要があります。
今のところは、英語表記となりますが、EUのサイトが一番信頼できる情報源になると思います。
ETIASについて知っておくべき3つのこと+1つ
ETIASの概要がわかったところで、もう少し詳しくみていきましょう。
1. ETIASの申請方法
EUサイト内、「What you need to apply(申請に必要なもの)」のページを確認すると以下のことが読み取れます。
- 渡航書類が必要
*基本的にはパスポート(10年以内発行で、3ヶ月以上有効期限があるもの) - 申請書が必要
- 氏名、姓、生年月日、出生地、国籍、住所、両親の名前、メールアドレス、電話番号などの個人情報
- 旅券の詳細
- 学歴や現在の職業
- ETIASを必要とする国への渡航および滞在に関する詳細
- 犯罪歴、戦争・紛争地域への渡航有無、国外退去処分の有無
- 申請料の支払いが必要
*18歳未満の人と70歳以上の人は支払い免除
申請後、数分以内でETIASを発行してもらえるようですが、申請内容に不備等あれば30日かかる場合もあるようなので、できるだけ早めに申請しておけるのが安心のようです。
ざっと見る限り、申請方法はシンプルでそんなに大変なものではない印象です。
2. ETIASの料金
ETIASの申請料金としては€7とされています。申請料はカード払いとなります。
3. ETIASの有効期限
ETIASの有効期限は3年ですが、登録したパスポートの期限がその前に切れる場合は、パスポートの期限が優先されます。
有効期限が切れる前に、メールでお知らせが来るようになるそうで、期限前120日前から新しいETIASの申請ができるそうです。
4. 長期留学・ワーホリの人のETIAS
ETIAS導入となった時、学生ビザやワーホリビザ、その他のビザを持っている日本国籍の人はどうなるのでしょうか。
Frequently asked questions about ETIASを確認すると、以下のような記載があります。
I come from a visa-exempt country and I want to study in Europe – do I need an ETIAS travel authorisation?
(ビザ免除国からヨーロッパに留学したいのですが、ETIASが必要ですか?)If you want to come to study in a European country requiring ETIAS for more than 90 days, you will need a student visa. For shorter study programmes, you can apply for an ETIAS travel authorisation. Please contact the consulate of the country you intend to study in for further details.
https://travel-europe.europa.eu/etias/faqs-etias_en
(ETIASが必要なヨーロッパの国に90日以上留学する場合は、学生ビザが必要です。短期留学の場合は、ETIASを申請することができます。詳しくは、留学する国の領事館にお問い合わせください。)
I come from a visa-exempt country and I want to work in Europe – do I need an ETIAS travel authorisation?
(ビザ免除国の出身で、ヨーロッパで働きたいのですが、ETIASが必要ですか?)No, if you wish to work in one of the European countries requiring ETIAS you will need to apply for a work visa. However, if you are travelling only to attend a business conference or a meeting, you can apply for an ETIAS travel authorisation. Please contact the consulate of the country you intend to work in for further details.
https://travel-europe.europa.eu/etias/faqs-etias_en
(ETIASを必要とするヨーロッパの国で就労を希望する場合は、就労ビザの申請が必要です。ただし、ビジネス会議やミーティングに出席するためだけに渡航する場合は、ETIASを申請することができます。詳細については、就労を希望する国の領事館にお問い合わせください。)
留学については上記1つ目の項目を、ワーホリについては上記2つ目の項目を参照でき、滞在許可証(学生ビザやワーホリビザ)があればETIAS申請は不要ということのようです。
※詳しくは案内にある通り、大使館や領事館にてご確認ください。
ただ、ヨーロッパに長期滞在となれば、周辺の国に旅行や出張で移動することもあると思うので、やはりETIAS申請が必要となる可能性は高いと思います。
イギリス・アイルランドへ行く場合のETIAS申請
イギリスもアイルランドも、シェンゲン協定国ではないではないため、ETIAS対象外となる可能性が高そうです。
EU加盟国とシェンゲン協定国は混乱しやすいですが、2024年現在、
- イギリスはEUを離脱&シェンゲン協定非加盟国
- アイルランドはEU加盟国&シェンゲン協定非加盟国
なお、アイルランドやイギリスに渡航する場合、経由地としてETIAS必須の国を通る可能性もあるかと思いますが、トランジットのみであれば、ETIAS申請は必要ないようです。
you do not need an ETIAS travel authorisation if you only remain in the international transit area. However, you must have a valid travel authorisation if you leave this area and enter the territory of any of the European countries requiring ETIAS.
https://travel-europe.europa.eu/etias/faqs-etias_en
(トランジットエリアに滞在するのみであれば、ETIAS渡航認証は必要ありません。ただし、トランジットエリアを出てETIASを必要とする欧州諸国の領域に入る場合は、有効な渡航認証が必要です。)
ETIAS申請の最新情報をチェック
ETIAS(欧州渡航情報認証システム)についてまとめましたが、このシステムはまだ準備の段階にあります。
当初は2021年からの導入が予定されていましたが、コロナの影響などあり、まだ予定通りに進んでいないところもあるようです。
今後、さらに詳しい情報がアップされていくと思うので、しっかり情報収集して本格導入の時に備えつつ、実際の渡航時にはスムーズに手続きを進められるようにしたいですね!
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