普段からジャンル問わず本を読み漁っているたびわ(@tabi_wa)ですが、「本の世界に没頭したい」という時はミステリ小説が効きます。
ミステリ小説の中でも、アイルランドが舞台になっている作品を集めてみました。
アイルランドが舞台のミステリ小説
ここでは、これまでに読んだ本の中から6つのミステリ小説をご紹介します。
『捜索者』/タナ・フレンチ
『捜索者』は、アメリカからアイルランド西部の小さな村へ越してきた元警察官・カルが、誰かに監視されていると感じるところから物語が始まり、ついにはトレイと名乗る子どもと出会い、いなくなったトレイの兄を探すことで物語が展開されていきます。
厚み3cm近くある文庫本で、どれほどたくさんの事件が起こるだろうと読み進めましたが、半分まで読んでもまだまだ断片的で、残り5分の1程度のところからやっと物語の全体が見え出すような作品です。
とは言え、単調でつまらないということはなく、最後には「規範」や「モラル」という言葉が痛く響いてきます。
舞台となるアードナケルティ村はどうやら架空の村のようですが、アスローンやゴールウェイが頻繁に会話の中に登場することを考えると、ロスコモン県(County Roscommon)の南部のイメージではないかと思います。
(結末を考えると、風評被害的なものも与えかねないため実在の村を当てることができなかったのかも…?)
『56日間』/キャサリン・ライアン・ハワード
アイルランド・コーク出身の作家キャサリン・ライアン・ハワードの『56日間』は、コロナ禍のロックダウン下のダブリンが舞台となっている作品です。
「ロックダウン」という事実があったから生み出された作品であり、「ロックダウン」という舞台設定だから成り立つ物語です。
物語は「今日」から始まり、「56日前」「今日」「53日前」「34日前」と時系列がバラバラに展開され、読み手は物語を知る手掛かりを断片的に集めていく形になります。

この時系列がバラバラに展開するせいで、好奇心のようなものがより掻き立てられ、仕事もそっちのけで徹夜して読破する結果になりました。・・そして、読後、結果を知った上で再読したくなる恐ろしい本です…笑
恋愛の要素も含めつつ、でも余計なものは入れず、しんと静まり返るような世界観の中で読者は騙される…。
結果を知った上で、主人公の一人であるキアラが今後どうするか、読み返して再度考えたくなる作品です。
『平凡すぎて殺される』/クイーム・マクドネル
どこにでもいるような男が、ある日病院で刺され、まさかの逃走劇に巻き込まれる…。
「ノンストップ・ミステリ」とカバーにありますが、ミステリというより「おちゃらけ逃走劇」という感じの作品です。
あまり謎解き感はない気がしますが、現役コメディアンが書いた小説とあり、急に投下される笑いの爆弾が妙に効いています。
アイルランド出身の作家が、アイルランドなカルチャー満載な例えを多く入れているがゆえに、翻訳が説明的になりがちで、本で読むより舞台作品としての方がより生き生きとしたストーリー展開を味わえる気がしました。(逆に言えば、アイルランドに詳しい人には笑いのポイントが多い作品になります。)
この本1冊で物語は一旦収まりますが、ダブリントリロジーとして続編もあるようなので、ハマる人ならさらに展開を楽しめます。
『修道女フィデルマの采配: 修道女フィデルマ短編集』/ピーター・トレメイン
イングランド出身の歴史家・推理作家のピーター・トレメインがシリーズで描いているのは、修道女で王の妹、そして、弁護士・裁判官の資格をも持つフィデルマの物語です。
『修道女フィデルマの采配: 修道女フィデルマ短編集』は、どうやら複数の原作本からいくつかのストーリーを集めた短編集のようです。
7世紀ごろのアイルランドを舞台とし、史実を元に精妙に描かれた世界の中で推理が進んでいきます。
個人的には、聞き慣れない名前の登場人物や、聞き慣れないカタカナの用語が多く登場することもあり、それぞれの物語に入りこむのに苦労することもありましたが、世界観がはっきりしているだけに、アニメや実写ドラマで観られたら面白そうだなという感じがしました。
フィデルマの物語はシリーズであり、20弱のタイトルが日本語翻訳で出ているので、この世界観が気に入った人は他の本も手に取ってみてください。
『真冬の訪問者』/W・C・ライアン
『真冬の訪問者』が描く時代は1921年1月。アイルランドの自治を巡る「英愛条約」が締結される前の、RIC(イギリス側の警察)とIRA(アイルランド独立派武装勢力)の闘争が背景にある時代の物語です。
元恋人を殺した犯人を追い、アイルランド西部のキルコルガン・ハウスに赴いたハーキンが、政治的なつながりも絡む複雑な人間関係を明らかにしていきます…。
とにかく登場人物多めで、この作品も物語の最初から一気に登場人物たちが登場するせいなのか、聞き慣れない名前が多いせいなのか、物語中盤に至るまで登場人物の名前が把握しきれず、だいぶ苦戦した作品でした(表紙裏の人物紹介を何度確認したことか…)。
北アイルランド紛争につながる歴史的背景も物語のキーになるので、何の前知識もなく読むとちょっと難しい作品かもしれません。
全体にアイルランドを感じるような荒涼とした雰囲気があり、一旦物語に入るこむとだいぶアイルランドな世界観に浸れる作品ではあります。
『ゲストリスト』/ルーシー・フォーリー
ペーパーバックをそのまま日本語文庫化した感じのちょっと変わった装丁の本です。(ページ側面は黄色、文章は2段構えで中も特徴あり!)
イギリス出身の作家の作品で、アイルランド・コネマラ近辺の孤島が舞台となりますが、主な登場人物はイギリスの出身のため、アイルランド色は少なめです。(出番は少ないですが、ギネスやラム、ゲール語などアイルランドに関連するものはちらほら登場します。)

イニシュ・アンナプローラやコーモラント島というように、舞台となる孤島の地名も出てきますが、たびわが調べた限りでは実在の島として確認できませんでした。架空の島でしょうか・・。
ストーリーは、ウェディングパーティーの最中の停電と悲鳴という不穏な描写から始まります。
花嫁・花婿のほか、ゲストとして呼ばれた人物たちそれぞれの視点から物語が語られ、過去と現在の隠し事が一つひとつ暴かれていくような展開です。
本の残り4分の1のあたりから一気に伏線回収が始まり、少し偶然が過ぎる気もしてしまいましたが、誰が殺されたか、誰が殺したかの部分はなかなかにおもしろい着地の仕方をしていたと思います。
アイルランドのミステリ小説
どれもおもしろく読みましたが、断然推したいのは『56日間』です。
何も知らずに読む1回目、結果を知って読む2回目、再度考察の3回目で3回は楽しめる作品だと思います。(なんだったらいつか読書会を開いて語りたいぐらい・・。)
今後もアイルランドが舞台なミステリ小説もウォッチしていきます!
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