アイルランドが舞台!アイルランド人作家の本リスト

アイルランド作家の本 日本で見つけるアイルランド

アイルランド文学といえば、ウィリアム・バトラー・イェイツジェイムズ・ジョイスオスカー・ワイルドなど、名だたる作家たちの名前があがってきますが、ここではもっと最近の文学に焦点を当て、アイルランド人作家による、アイルランドが舞台の本を紹介したいと思います。

アイルランド好きが高じて、アイルランド関連本を常にウォッチしているたびわ(@tabi_wa)が、本の感想を交えてお伝えいたします。

※アイルランド人作家とは言っていますが、一部北アイルランドの作家さんもまとめています。

アイルランドの文学というより、アイルランド自体について知りたいという方はこちらの記事をご覧ください↓↓

アイルランドが舞台の小説

『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ』/サリー・ルーニー

サリー・ルーニーはアイルランドのメイヨー(Co. Mayo)出身の作家です。

BBCドラマでも話題となった、『ノーマル・ピープル(Normal People)』の著者で、『ノーマル・ピープル』同様、『カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ(Conversation with Friends)』もダブリンを舞台に物語が展開します。

プロットの中心は、21歳のフランシスと30代の既婚男性・ニックとの情事というところですが、2人を取り囲む人間関係はもっとずっと複雑。家族、友達、貧富の差、ジェンダーなど、どこを境にして人との関係を立てるかというところがとても複雑に描かれる作品です。

物語中に一切カギ括弧はなく、会話を聞いているのに思考の中を彷徨うような文章で、もしかすると苦手に感じる人もいるかもしれません。結末もかなり宙ぶらりんで、それがむしろリアルで、サリー・ルーニーの作品らしいですが、好みが分かれる作品かもしれません。

作中には、ナッソー・ストリート(Nassau Street)やウエストモアランド・ストリート(Westmoreland Street)などリアルなストリート名が登場するほか、イーソン(Eason)という本屋やスティーヴンス・グリーン公園など、ダブリンのリアルな地名が出てきます。ダブリンの土地勘のある人なら、ダブリンの街並みが見えるはず。

こちらの作品もBBCでのドラマ化が決定しています。

『Normal People』は現在は日本語翻訳はなしです・・

『星のせいにして』/エマ・ドナヒュー

『星のせいにして(The Pull of the Stars)』は、アイルランド・ダブリン生まれ、カナダ在住の作家 エマ・ドナヒューの作品です。彼女は、映画にもなった『ルーム(ROOM)』の著者でもあります。

『ROOM』も軽く読めるような作品ではないのですが、途中から視点が変わり、読み手に全体像が見え始める展開がすごく印象的で、エマ・ドナヒューという作家はずっと気になる存在でした。

そして、手に取ったのが、ダブリンの病院が舞台に物語が展開する『星のせいにして』だったのですが・・、やっぱり引き込まれる!

読み手は、戦争とスペイン風邪のパンデミック下のダブリンの病院で、スペイン風邪に罹患した妊婦と看護師の3日間をじっと見つめていくことになります。

「切迫感」や「焦燥感」、「弛緩」「安堵」「悲しみ」がぐるぐると回っていく中で、気がつくと夢中で読み進めている自分に気づきました。これも軽く読める作品ではないのですが、ぜひ読んでいただきたい!

著者あとがきによれば、2018年にはこの本が書き始められて、2020年3月には原稿ができていたとのこと。コロナ禍前に誕生した作品なのですが、コロナ禍中に世に出たというのもまた意味があるのかなと思ったりもします。

『ミルクマン』/アンナ・バーンズ

たびわの中では、だいぶ問題作・・。物語の着地点が知りたくて読み進めたけど、読むのにとっても苦労しました。

人物の名前や土地の名前は一切出ず、ずっとニックネームやおかしな言い回しでの呼び名が続き、おまけにカギ括弧もなく会話が進むため、ただでさえ分厚い本にびっしりと文字が並びます・・。

ミルクマン』の世界には、「海の向こう側」と「道の向こう側」があり、「あっちの宗教」と「こっちの宗教」があります。(「テイトー・クリスプ」や「ソーダ・ブレッド」など、明らかに北アイルランドとわかるアイテムも多数登場したりもします。)

著者アンナ・バーンズは北アイルランド生まれ。

著者は舞台を「北アイルランド・ベルファスト」と明言することを避けたいようで、そうすることで一般化して「閉鎖的な社会」を描くということなのかもしれませんが、この本を読むには、イギリスとアイルランドについて宗教的な背景も含め、ある程度の前知識が必要かもしれません。

「ミルクマン」という少し可愛らしくも聞こえるタイトルよりも、装丁のモヤモヤとした影のようにずっと重さの漂う作品で、読みづらさはかなりありますが、読んで良かった作品だったと思います。

『ブッチャー・ボーイ』/パトリック・マッケイブ

『ミルクマン』と少し似た雰囲気を持つ作品に『ブッチャー・ボーイ』があります。

作者は『プルートで朝食を』の原作者パトリック・マッケイブで、こちらも気力がちゃんとある時に読まないと精神エネルギーを持っていかれそうになる作品です・・。

フランシー少年の視点を借りて彼の人生を辿っていくことになるのですが、本当の悪が何かを考えさせられるような1冊です。

アイルランド作家の作品では、外とのつながりの中で複雑に隠された内面を巧みに浮き上がらせる作品が多い印象もあります。

もはやホラーの域になりそうなこの本はとてもオススメしづらい1冊ですが、ずっと心に残る1冊になると思います。

『青い野を歩く』/クレア・キーガン

アイルランド・コーク出身の作家 ウリアム・トレヴァーの作品が好きな方は、アイルランド・ウィックロー出身のクレア・キーガンの作品も好きかもしれないです。

『青い野を歩く』は8つの物語が収まった短篇集で、舞台となるのはアイルランドの辺境な土地ばかり。(だからこそ自然や人がとてもはっきり見えてくる。)

過去の何かを抱え、言えずにくすぶっている感情が、繊細な情景描写に滲み出ているような作品です。

比喩的な情景描写が美しく、好きな一文がいくつも見つかるかもしれません。

最後に収録されている『クイックン・ツリーの夜』にはアイルランドの迷信や神話、妖精の要素も多く盛り込まれ、よりアイルランドらしい作品だったのがお気に入りです。

番外編:外国人作家により描かれるアイルランドが登場する小説

アイルランド人作家の作品と前置きしましたが、他にもアイルランドが登場する本があるので、少し紹介します。

『山亭ミアキス』/古内一絵

『山亭ミアキス』は、日本人作家さんによる作品です。

悩みを抱えた人たちが山亭に泊まることになり、自分の人生との向き合い方を見直していく物語が集まった1冊です。

「世にも奇妙な物語」や「笑ゥせぇるすまん」(わかる人なら「週刊ストーリーランド」)的な不気味さもある物語展開で、どこか宮沢賢治の『注文の多い料理店』のような雰囲気もありますが、割と読みやすい作品だと思います。

雨や霧がかった情景描写があり、そんな天気の日に読みたくなる一冊かもしれません。

この作品の中には、パンガーというアイルランド人シェフが登場し、ギネスシチューベーコン&キャベツといったアイルランドの伝統料理が度々登場します。
※パンガーという名前もアイルランドの修道士が残した古い詩に登場する猫の名前だったりします(そしてその詩自体も物語中に登場します。)

アイルランド料理を知っている人なら、より一層物語に漂う香りや味を楽しめる作品になっています。

『ケルト人の夢』/マリオ・バルガス=リョサ

ペルー生まれのノーベル賞作家、マリオ・バルガス=リョサによる、アイルランド人外交官ロジャー・ケイスメントの人生を辿る歴史小説です。

コンゴ、アマゾン、アイルランドでの回想録と、獄中の出来事が交錯しながら物語が展開します。

感情的な部分は小説的な要素がふんだんに取り込まれているようですが、歴史上実在の人物や出来事を描いた作品です。

これだけの行動力あった人がなぜあまり表に出られたなかったかというところも、少し激しい描写で描き出されています。

とてもおもしろい作品なのですが、分厚さだけはご注意ください・・。

『恋するように旅をして』/角田光代

小説ではなくエッセイなのですが、こちらにもチラリとアイルランドが登場します。

恋するように旅をして』は、主には東南アジアを舞台とした旅エッセイなのですが、角田さんがアイルランドコークに行った時のことが描かれおり、リー川(River Lee)と思われるような川も登場します。

東南アジアのあのごちゃっとした感じが好きな角田さんには、アイルランドは整いすぎて見えてしまったようですが、それでもエッセイに登場する人物たちの様子や言っていることがまるでアイルランド過ぎて、アイルランド好きには刺さる本かと思います。

角田さん本人は至って真面目そうに旅の記録を綴っているような趣があるのに、声を出して笑える話がたくさん入った作品です。読み終わった時、アジア旅に出たくなりました。

笑いをたくさん散りばめながら、どこかホッとするような作品で、お気に入りの本の1つです。

アイルランドを描いた作品

以上、8つの本を紹介しました。

他にもアイルランド人による作品はありますし、今後もアイルランドを描く素敵な作品が出てくると思います。

これからも随時おすすめの本を並べて行きたいと思います。

アイルランドをきっかけにまたお気にに入りの本が増えていくのは楽しいですね。

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