アイルランドにいたことがあると話すと、決まって「アイルランドって英語?何語話すの?」と聞かれます・・。
アイルランドでは英語がメインで使える言語となりますが、混乱されるのは、単純にその人がアイルランドに馴染みがないというのに加えて、アイルランドが元々の言語であるアイルランド語(アイルランド・ゲール語)を大切にしているというのがあると思います。
ここでは、アイルランド語がどんな言語なのかまとめてみたいと思います。
言語学的な解説は難しいし、文法までの細かなところはわからなくても、ざっくりでいいから、なんとなくの特徴を知りたいという人に向けて、アイルランド語をちょっと学んだたびわ(@tabi_wa)がまとめます。
【基本のき】アイルランド語(アイルランド・ゲール語)とは
ではまずざっくりとアイルランド語の基本から・・
アイルランド語の言語的分類
アイルランド語(アイルランド・ゲール語)は、ケルト語派の言語で、その中でもスコットランド・ゲール語、マン島語と同じグループになります。
ウェールズ語にもアイルランド語の単語に似たものもありますが、言語グループは別。
アイルランド・ゲール語話者とスコットランド・ゲール語話者ではなんとなく会話できたりするらしいです!
ゲールタハト(Ghaeltacht/Gaeltachtaí)
アイルランドでは、ほとんどの場所で英語が基本言語として使われますが、アイルランド語が基本言語となる地域もあり、ゲールタハト(Ghaeltacht/Gaeltachtaí)と呼ばれます。
ゲールタハトは、ドニゴールやメイヨー、ゴールウェイなど西側に多く存在し、Ulster Irish、Connacht Irish、Munster Irishと分類されるように、大きく分けて3つの方言があるそうです。
ざっくり見るアイルランド語の基本:
- アイルランド語はケルト語派言語
- アイルランドにはアイルランド語を日常的に話す「ゲールタハト」というアイルランド語地域がある
- アイルランド語には大きく分けて3つの方言がある
アイルランド語の特徴(ざっくりな文法解説)
細かい説明は抜きにして、ざっくりした文法の特徴解説はこちらから。
アルファベットは18文字
本来、アイルランド語には、J、K、Q、V、W、X、Y、Zがありません。
本来としているのは、現在使われているアイルランド語では外来語の使用で、VやZの使用があるからです。(例:veidhlín = violin(バイオリン))
加えて、アイルランド語では á や ó のような、アクセント記号がついたような文字も使います。
語形変化
たぶんこれがアイルランド語を学ぶ上で難しさを感じさせるところ・・。
アイルランド語では、前後にある単語が母音か子音で始まる/終わるかなどのルールで単語の形が変わります。
【例】「〜で」を意味する i が前に付くと後の単語が語形変化する
Gaillimh(=ゴールウェイ) → i nGaillimh(=ゴールウェイで)[Gの前にnがつき発音も変わる]
【例】
Cat(=猫)→ Do chat(=あなたの猫)[単語の中にhが付け加えられる]
この語形変化は人の名前にでさえも起こるのだからびっくりです!
【例】Seánという人を呼ぶ時
※名前を呼ぶ時は「呼格」である「a」をつけて呼ぶ
Seán(ショーン) → a Sheáin(ア ヒョーイン)[ h と i が付け足されて発音まで変わる!]
不定冠詞 a/an がない
英語学習において、日本人が苦戦する a/an と the の使用ですが、アイルランド語では a/an にあたるものがありません。
英語で「a dog(1匹の犬)」というのを日本語で「犬」と言うように、アイルランド語でも何も前後につけず、「madra」とします。
ただし、英語のtheにあたる定冠詞の使い方には一癖あり、アイルランド語では an と na の2つの形があります。
単数形の名詞があとに続く時は an を、複数形の名詞があとに続く時は na を使います。
名詞に性別がある
ヨーロッパの言語に多い通り、アイルランド語の名詞には男性名詞と女性名詞があります。
男性名詞か女性名詞なのかで、語形変化の仕方も違います。
ざっくり見るアイルランド語の文法:
- アイルランド語では基本アルファベットは18文字
- 語形変化がある
- 定冠詞(an/na =英語のtheにあたるもの)はあるが、不定冠詞(英語のa/anにあたるもの)がない
- 定冠詞は単数形か複数形かで使い分ける
- 名詞に性別がある(男性名詞・女性名詞がある)
アイルランド語で読み解く意味と歴史
アイルランド人の名前に隠された意味
アイルランド語の姓は以下のような形で表現されました。
- Ó = 〜の子孫
- Mac = 〜の息子
- Ní = 〜の子孫の娘
- Nic = 〜の息子の娘
今も名残りでMcDonaldさんやO’Brianさんがいますね。
アイルランドの消えた地方
アイルランド島(アイルランド共和国+北アイルランド)は4つの地方に分けられており、アイルランド語ではそれらを「cúigí」を使って表します。(例えばレンスターと呼ばれる地方なら、「Cúige Laighean」)
「地方」と訳されるCúigeの本来の意味は「5分の1」。
これは、昔々、アイルランドが5つの地方に分かれていたことを意味します。
現在は、アルスター、レンスター、コノート、マンスターと分かれるアイルランドですが、昔は「ミース(province of Meath/Cúige na Mí)」があったのだそうです。
ミースはかつてアイルランド各地の王よりさらに高い地位につく上王がいた場所でした。
アイルランド語の魅力
アイルランド語に興味を持ち出すと、歴史や地理などの話が出てくるので、ハマると奥深くまで引っ張られます 笑
言語にはその土地の概念や思想が出ていたりするので、そこもまた興味深い点ですね。
アイルランド語に強く興味が湧いた今、いつかゲールタハト圏内のパブで、聞こえてくるアイルランド語での話し声を楽しみながらギネス片手に過ごしてみたいと思ってしまうのです。
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